Amazon Web Services(AWS)が提供するOS「Amazon Linux 2」は、多くのシステムで利用されていますが、そのサポート終了(EOL)が迫っています。
EOLを迎えるとセキュリティ更新が停止するなど多くのリスクが生じるため、利用者は計画的な移行が必要です。
この記事では、Amazon Linux 2のEOLに関する最新情報、それに伴うリスク、そして後継OSであるAmazon Linux 2023への具体的な移行手順について解説します。
サポート終了は2026年6月30日!Amazon Linux 2のEOL(サポート終了)とは
AmazonLinux2のEOL(EndOfLife)とは、製品のライフサイクルが終了し、AWSによる公式サポートが打ち切られることを指します。
具体的には、セキュリティアップデートやバグ修正、技術サポートの提供が停止されます。
当初の予定から延長され、最終的なサポート終了日は2026年6月30日と定められました。
この日以降もインスタンスの利用は可能ですが、セキュリティ上のリスクが大幅に高まるため、期日までの移行が強く推奨されます。
Amazon Linux 2のサポート終了(EOL)はいつ?延長後の最新情報
AmazonLinux2のサポート終了日は、当初の2025年6月30日から1年間延長され、現在は「2026年6月30日」が公式な期限となっています。
この日付は、すべてのセキュリティアップデートとバグ修正が提供される最終日を意味します。
利用者はこの最終期限を正確に把握し、それまでに後継OSへの移行を完了させる必要があります。
延長された期間を有効に活用し、計画的に移行プロジェクトを進めることが重要です。
EOL(End of Life)が意味するものとは?基本的な概念を解説
EOL(End of Life)は「製品ライフサイクルの終了」を意味する言葉です。
ソフトウェアにおけるEOLは、開発元による公式なサポートがすべて終了する時点を指します。
具体的には、セキュリティパッチの提供、バグ修正、新機能の追加、技術的な問い合わせへの対応といったサポートが打ち切られます。
EOLを迎えたソフトウェアを使い続けることは、新たな脆弱性が発見されても修正されず、セキュリティリスクが非常に高い状態に置かれることを意味します。
Amazon Linux 2をサポート終了後も使い続ける3つのリスク
AmazonLinux2のサポート終了後にOSを使い続けることには、重大なリスクが伴います。
最も懸念されるのは、新たなセキュリティ脆弱性が発見されても修正パッチが提供されなくなることです。
また、AWSからの技術サポートが受けられなくなり、システムトラブル発生時の解決が困難になります。
さらに、コンプライアンス要件を満たせなくなる可能性もあり、事業継続に影響を及ぼす恐れがあります。
セキュリティパッチが提供されず脆弱性が放置される
サポート終了後、AmazonLinux2に新たなセキュリティ上の脆弱性が発見されても、それを修正するためのセキュリティパッチは提供されません。
これは、システムが無防備な状態でサイバー攻撃の脅威に晒され続けることを意味します。
攻撃者は既知の脆弱性を突いて容易にシステムへ侵入できるため、情報漏洩やデータ改ざん、サービス停止といった深刻な被害につながるリスクが非常に高まります。
PCI DSSなどのコンプライアンス要件を満たせなくなる可能性
クレジットカード情報を扱うシステムで要求されるPCIDSSなど、多くのセキュリティコンプライアンス基準では、利用するすべてのソフトウェアコンポーネントがベンダーによってサポートされていることを要件としています。
サポート終了後のOSを使用し続けると、これらの基準に準拠できなくなる可能性があります。
コンプライアンス違反は、ライセンスの剥奪や罰金の対象となるだけでなく、企業の社会的信用の失墜にもつながります。
後継OS「Amazon Linux 2023」への移行を検討する
AmazonLinux2のEOLに伴い、最も有力な移行先となるのが後継OSの「AmazonLinux2023(AL2023)」です。
AL2023はAWSによって最適化されており、クラウド環境でのパフォーマンスとセキュリティが強化されています。
AWSは、特別な理由がない限り、AmazonLinux2からの移行先としてAL2023を推奨しています。
長期的なサポートと新機能の恩恵を受けるためにも、積極的な移行検討が求められます。
Amazon Linux 2023の主な特徴とメリット
AmazonLinux2023は、予測可能なリリースサイクル(2年ごとのメジャーリリース)と5年間の長期サポートが大きな特徴です。
これにより、利用者は計画的なアップデートと安定した運用が可能になります。
また、セキュリティが強化されており、SELinuxがデフォルトで有効化されています。
AWSとの統合もより緊密で、最新のAWS機能への対応や最適化が迅速に行われる点もメリットです。
Amazon Linux 2からの変更点【yumからdnfへ】
AmazonLinux2からAmazonLinux2023への移行における最も大きな技術的変更点の一つは、パッケージマネージャーが「yum」から「dnf」に変わったことです。
dnfはyumの後継であり、依存関係解決のパフォーマンスなどが向上しています。
基本的なコマンドの互換性は維持されていますが、自動化スクリプトなどでyumコマンドを直接使用している場合は、dnfへの置き換えや動作確認が必要となります。
この変更は、AWS環境の運用管理に影響を与えるため、事前の把握が不可欠です。
インプレースアップグレードは不可!新規インスタンスでの移行手順
AmazonLinux2からAmazonLinux2023への直接的なアップグレードはサポートされていません。
したがって、移行は新規のEC2インスタンスを構築する方式で行う必要があります。
具体的な手順としては、まずAmazonLinux2023の公式AMIを選択して新しいEC2インスタンスを起動します。
その後、既存のインスタンスからアプリケーション、データ、設定ファイルなどを新しいインスタンスへ移行し、動作確認を行った上で切り替えるという流れになります。
Amazon Linux 2からの具体的な移行手順と計画の立て方
AmazonLinux2からの移行を成功させるには、事前の計画が極めて重要です。
単に新しいEC2インスタンスを立てるだけではなく、現状の環境把握から始め、アプリケーションの動作検証、ダウンタイムを最小限に抑えるための切り替え計画策定、そして段階的な実施というステップを踏む必要があります。
このプロセスを体系的に進めることで、予期せぬトラブルを回避し、スムーズな移行を実現できます。
Step1: 現状のEC2インスタンス環境を把握する
移行計画の第一歩は、現在稼働しているAmazonLinux2のEC2インスタンス環境を正確に把握することです。
インストールされているミドルウェアやアプリケーションのバージョン、各種設定ファイルの内容、ライブラリの依存関係、ネットワーク設定、そして利用しているストレージやセキュリティグループの構成などを詳細にリストアップします。
この情報が、新しい環境の構築と動作検証の基礎となります。
Step2: 移行先のOSでアプリケーションの動作を検証する(PoC)
次に、移行先OS(例:Amazon Linux 2023)でテスト用のEC2インスタンスを構築し、そこで既存のアプリケーションが問題なく動作するかを検証します(PoC:Proof of Concept)。
ライブラリのバージョンの違いや設定ファイルのパス変更など、OSの差異によって発生する問題をこの段階で洗い出します。
すべての機能が期待通りに動作することを確認できるまで、修正とテストを繰り返すことが重要です。
Step3: ダウンタイムを最小化する移行計画を策定する
アプリケーションの動作検証が完了したら、本番環境の切り替え計画を策定します。
サービスの停止時間をいかに最小化するかが重要なポイントです。
例えば、Blue-Greenデプロイメント方式を採用し、新旧両方のEC2環境を並行稼働させ、DNSの切り替えだけで瞬時にトラフィックを移行する手法などが考えられます。
データ移行の手順や切り戻し計画もこの段階で具体化します。
Step4: 新規インスタンスを構築し段階的に切り替える
計画に基づき、本番用の新しいEC2インスタンスをAmazonLinux2023のAMIから構築します。
検証済みのアプリケーションやデータをデプロイし、最終的な動作確認を行います。
準備が整ったら、策定した移行計画に従って、DNSレコードの変更やロードバランサーのターゲット変更などを行い、ユーザーのトラフィックを段階的に新しいインスタンスへと切り替えていきます。
旧インスタンスは、切り替えが安定するまで一定期間保持することが推奨されます。
Amazon Linux 2023以外の移行先OS候補
AmazonLinux2からの移行先は、必ずしもAmazonLinux2023だけではありません。
システムの要件や組織の技術スタックによっては、他のLinuxディストリビューションや、OSの管理自体を不要にするアーキテクチャへの移行が適している場合もあります。
AWSでは多様なOSがサポートされており、RHELクローンやUbuntu、さらにはサーバーレスといった選択肢も視野に入れて検討することが可能です。
RHELやAlmaLinuxなどのRHELクローンOS
AmazonLinux2はRedHatEnterpriseLinux(RHEL)との互換性が高かったため、移行先としてRHELやそのクローンOSであるAlmaLinux、RockyLinuxも有力な選択肢です。
これらのOSは、オンプレミス環境でRHEL系の運用経験が豊富な場合に、既存の知識やスキルを活かしやすいというメリットがあります。
特にEL9(EnterpriseLinux9)系列は、長期的なサポートが見込めるため、安定した運用基盤を求める場合に適しています。
Ubuntu Serverという選択肢
UbuntuServerは、AWSクラウド上で非常に人気が高く、豊富なドキュメントと活発なコミュニティを持つLinuxディストリビューションです。
特にWebアプリケーションやコンテナ関連のワークロードで広く採用されています。
パッケージ管理システムとしてAPTを使用するなどRHEL系とは異なる特徴を持ちますが、最新のソフトウェアへの追随が早く、開発者にとって使いやすい環境が整っている点が魅力です。
サーバーレスやコンテナ(Lambda, Fargate)への移行も視野に
このOS移行を機に、インフラのアーキテクチャを根本的に見直すことも一つの選択肢です。
アプリケーションをコンテナ化してAWS Fargateで実行したり、特定の機能をAWS Lambdaに移行したりすることで、OSのパッチ適用やバージョン管理といった運用負荷そのものをなくすことができます。
これにより、開発者はインフラ管理から解放され、アプリケーション開発により集中できるようになります。
移行プロジェクトで注意すべきポイント
AmazonLinux2からの移行プロジェクトは、単なるOSの入れ替え作業ではありません。
アプリケーションの互換性や設定ファイルの差異、セキュリティポリシーの違いなど、見落としがちな点が数多く存在します。
これらの注意点を事前に認識し、対策を講じておくことが、EC2インスタンスのスムーズな移行と安定稼働を実現する鍵となります。
アプリケーションの互換性を事前に十分確認する
移行先のOSでは、カーネルのバージョンやシステムライブラリ(glibcなど)が新しくなります。
これにより、これまでEC2インスタンス上で問題なく動作していたアプリケーションが、予期せぬエラーを引き起こす可能性があります。
特に、特定のライブラリバージョンに依存するプログラムや、独自にコンパイルしたソフトウェアは注意が必要です。
事前の動作検証フェーズで、徹底的な互換性テストを実施することが不可欠です。
設定ファイルやディレクトリパスの差異を見落とさない
OSが異なると、ミドルウェア(Apache,Nginxなど)の設定ファイルの場所や書式、デフォルトのディレクトリ構造が変更されている場合があります。
既存のEC2インスタンスから設定ファイルを単純にコピーするだけでは、正常に動作しない可能性があります。
移行先のOSの作法に合わせて設定を再構成する必要があるため、ドキュメントを確認し、差分を丁寧に見比べて修正する作業が求められます。
新旧OSのセキュリティポリシーの違いを理解する
AmazonLinux2023ではSELinuxがデフォルトで有効になるなど、セキュリティポリシーが強化されています。
これにより、AmazonLinux2のEC2インスタンスでは許可されていた通信やファイルアクセスが、新しい環境ではデフォルトでブロックされることがあります。
ファイアウォール(firewalld)の設定なども含め、新旧OS間のセキュリティ設定の違いを理解し、アプリケーションが必要とするアクセス許可を適切に設定し直す必要があります。
想定外のトラブルに備えた切り戻し計画を用意する
どれだけ入念に準備しても、移行作業には想定外のトラブルがつきものです。
新しいEC2環境に切り替えた後で重大な問題が発覚した場合に備え、迅速に元の環境へ戻すための「切り戻し計画」を必ず用意しておくべきです。
DNSレコードを元に戻す手順や、旧インスタンスを安全に再起動する手順などを具体的に文書化し、関係者間で共有しておくことが重要です。
Amazon Linux 2のEOLに関するよくある質問
AmazonLinux2のEOLに関して、利用者からは多くの質問が寄せられます。
ここでは、特に頻繁に尋ねられる質問とその回答をまとめました。
サポート終了後のインスタンスの挙動や、具体的な移行方法に関する疑問を解消し、AWS環境の適切な管理に役立ててください。
Amazon Linux 2のサポートが終了すると、すぐにインスタンスは使えなくなりますか?
いいえ、サポート終了後も既存のEC2インスタンスが自動的に停止したり、使えなくなったりすることはありません。
ただし、セキュリティパッチが提供されなくなるため、新たな脆弱性に対して無防備な状態となります。
使い続けることは可能ですが、セキュリティリスクが非常に高いため、推奨されません。
Amazon Linux 2からAmazon Linux 2023へ直接アップグレードはできますか?
いいえ、AmazonLinux2からAmazonLinux2023への直接的なインプレースアップグレードはサポートされていません。
移行するには、AmazonLinux2023のAMIを使用して新しいEC2インスタンスを構築し、そこへアプリケーションやデータを手動で移行する必要があります。
移行先のOSとしてAmazon Linux 2023と他のLinuxディストリビューションはどちらを選ぶべきですか?
AWS環境との親和性や最適化、5年間の長期サポートを重視する場合はAmazonLinux2023が第一候補です。
一方、既存の技術的知見を活かしたい場合や、特定のソフトウェア要件がある場合は、RHELクローンやUbuntuなどが適していることもあります。
システムの特性に応じて選択することが重要です。
まとめ
AmazonLinux2のEOLは2026年6月30日であり、サポート終了後に利用を続けるとセキュリティリスクが著しく高まります。
後継OSであるAmazonLinux2023はAWS環境に最適化されており、有力な移行先です。
移行はインプレースアップグレードができないため、新しいEC2インスタンスを公式AMIから構築し、データを移行する計画的なアプローチが求められます。
RHELクローン(EL9)やUbuntu、コンテナ化も選択肢となり得るため、自社の要件に合わせて早めに計画を立て、検証を進めることが重要です。